サッカーを頑張っている我が子がチームでスタメンになったら、次のステージを目指したくなるものですね。
次のステージとはトレセンです。
地区トレセンから都道府県トレセンの道が始まり、ナショナルトレセンと道が続きます。
6年生で選抜に選ばれたいとお考えですか?
僕は長いことトレセンコーチをやっています。他の地域のトレセンコーチとも交流があります。
トレセンを選ぶ方法は2通りあります。
一つはチームからの推薦です。
もうひとつはトレセンコーチが地区大会を観察して選考するという方法です。
チーム推薦の割合が多いと思いますが、トレセンコーチ側から「やっぱりこの選手を推薦してきたか」という場合もあれば、「なぜあの選手を推薦しないのですか?」という場合もあります。
選手を育てるのはチーム側なので、トレセンという環境がその選手によい影響を与えるかどうかを判断する場合があるということです。
トレセン活動で伸びる選手もいれば、トレセン練習会で緊張してしまい実力を発揮出来ない選手もいます。
慣れの問題なのですが、どんな環境でも実力を発揮出来ることは実力のひとつでしょう。
トレセン選考会では選手のどこを見ているのか
選ぶ側としては選手のどこを見ているのか?保護者としては気になるところですね。
上手い選手、身体能力の高い選手が集まりますが、どのような基準で選ぶのか、そこにはサッカー選手としての伸びしろを見る視点があります。
コーチによってこだわるポイントは違いますが、僕は次のようなポイントだと考えます。
・ボールばかり見ないでまわりを見ることが出来る。
・ボールをもっていない時の動きが出来る。攻撃ではサポートの意識、守備ではカバーリングの意識。
・選手どうしのコミュニケーション能力があること。ボールを呼ぶ、動き出しでパスをもらうなど。
・1対1の場面で闘う気持ちを持っている。奪われたらすぐに取り返すなどの動き。
・ゴールを奪う、ゴールを守るという原則を理解している。シュートを打つ、シュートを打たせないスキル。
・どのポジションに入ってもこなすことが出来る。チームでのポジションにこだわらない。
・ワンプレーで終わらない。連続して動く、ハードワークが出来る。
これらはオンザピッチの部分ですが、オフザピッチの部分も見られています。
・挨拶が出来る。自分から先に声を出して挨拶が出来ること。
・コーチの話をコーチの目を見て聞くことが出来る。
・荷物の管理が出来る。
・モノを大事に扱うことが出来る。
・仲間とコミュニケーションをとることが出来る。
このような基準で選手を見る訳ですが、キックの精度やドリブル能力などはチームトレーニングでも伸びていくので、やはりトレセン練習では「コンビネーション」が中心になります。
特に「ボールを持っていない時の動き」と「ボールを持っていてもまわりが見えている」ことは、伸びしろの土台になります。
チームレベルでこれらのトレーニングを受けていないと、トレセン選考会やトレセン練習では、なかなかよいプレーが出来ません。
よい習慣がついているか。
習慣を身につけるには時間がかかるものです。トレセンコーチはそこを見ています。
トレセンは4年生から始まります
多くの都道府県ではトレセンは4年生から始まります。
所属チームの推薦で地区トレセンで活動開始されます。
都道府県の4年生トレセン、いわゆるU10トレセンは4年生のうちに選抜されます。
ほとんどの場合、5年生トレセンもこのメンバーを踏襲する事が多いようです。
ということは・・・
(1)4年生で選ばれなければチャンスがないのか?
いいえ、たとえ4年生で選ばれなくても、U11(5年生)、U12(6年生)で選び直すのが一般的です。
逆に言うと、将来、U12(6年生)になった時にも活躍できる選手を選考できるかという事が課題になります。
4年生で選抜に選んでも、天狗になって(つまり、選ばれた事に満足して、トレーニングを怠る事)しまったり、ホッとしてしまう(つまり、今回選ばれたんだから、5年生、6年生と選ばれ続けるだろう)というケースがあります。
小学生の1年間は大人の感覚でいえば、3年分の相当すると思います。
たとえ選ばれなくても、半年間、テーマを絞ったトレーニングをすれば、クラブのコーチの目にとまる事も十分あり得ます。
また、そのような成長をアピールする必要があるかも知れません。
(2)4年生で選ばれるためにはどうすればいいのか?
4年生トレセンに選ばれるためには、3年生までのトレーニングが重要になります。
4年生で選ばれるための技術などが身についているかどうかです。
私は次の内容は身につけて欲しいと考えています。
また、身につけていないと4年生での伸びが期待できないかも知れません。
1.10m程度のキックを正確にできること。
2.キックはインステップ、インフロント、インサイドが蹴り分けられること。
3.ドリブルではアウトサイドを使ったドリブルができること。また、インサイド、アウトサイドでの切り返しが両足でできること。
4.ターンができること。インサイドフック、アウトサイドフック、ソールを使う、クライフターンが出来る、などです。
5.ヘディングの基礎ができていること。
6.かけひきのセンスを身につけている事。つまり、ボールコントロールだけで終わるのではなく、相手とのかけひきを意識しながら、ファーストタッチ、ドリブル、フェイント、ランウィズザボールなどができること。
7.攻守にわたって「ハードワーク」ができること。
これはU12で要求されるファクターですが、6年生になって突然身に付くものではなく、4年生の時に、その基礎を持っていることで、5、6年生でのハードワークの土台を作る事ができます。
3年生のうちに体験してほしいこと
4年生である程度のスキルを身につけるためには、3年生ですでに高度とも言えるトレーニングをする必要があるかのような感覚を受けます。
でも、3年生には3年生として体験して欲しい事もあります。
それは、「団子サッカー」です。
ボールに触りたい、ボールに触りたい。 相手のボールも味方のボールも自分のものにしたい。
そのためにはボールに群がる相手や味方おかまいなく、体の接触を嫌うことなく、団子に飛び込む体験が必要です。 その経験をある程度の期間体験することによって、「コンタクトスキル」の習得に差がついてきます。
「体を上手に使う」「体の入れ方」 この土台は3年生での「団子サッカー」で、押したり引いたり、ぶつかったりという事が「サッカーでは当たり前」という感覚を身につけてほしいのです。
3年生であれば、「ボールを自分のものにしよう!」という働きかけで、ボールに対する執着心が身についていくでしょう。
さらに、「取ったボールを取られないようにしよう」という働きかけで、集団の中でボールを持っていても、取られるだけなので、集団の外のスペースにボールを持っていこう。
こういう意識でのドリブルが生まれます。
団子サッカーから抜け出すのは、このフィジカルコンタクトを味わってからでよいと思います。
コーチはほぼ強制的に団子サッカーをやめさせようとしますが、選手にキック力がついてパスの距離が伸びることや、ドリブルでスペースに入り込む動きを身につけることと「両輪」のような形で団子サッカーから抜けていきます。
スキルフルな4年生になるために
1年生~3年生まで、「サッカーは楽しい」と感じさせながら、「サッカーは楽しい、けど、キビシイ」 この両面をうまく指導していく事が必用です。 「ハードワーク」を身につけるための土台としても重要です。
走り続ければ辛い、でも、ボールを奪ったらこっちのモノ!
こういうメンタル面の土台は、3年生以下でも指導することが可能です。
U10トレセンでは?
ボールだけの技術でなく、相手の逆をとる技術も必要です。
日頃の練習から「相手をつけた」トレーニングをすること。
相手のプレスもだんだん強くしていくこと。 これで、目の前の1人ぐらいは簡単にかわせるスキルを身につけて欲しいところです。
規律面や自出性などは、5,6年生でも身に付きます。
特に厳しくする必要はないと考えます。 それよりも「自己管理」の基礎づくりが大切です。
自分で用具を準備できること、コーチの話を聞いて、自宅で、実際に行動を起こせる事。
土台でありスタートラインのU10世代ですが、よい土台、よいスタートを切るためには、U9以下で質のよいトレーニングを行うことが必要です。
この内容をクラブのコーチから聞いている選手は問題ありませんが、「初めて聞く」、という場合は、仲間でトレセンに言いている子がいたら、自分から聞き出せるくらいの積極性がほしいですね。
これは、子供同士がやることです。親ごさんは、じっと見守ってください。
全国大会レベルのトレーニングとは
トレセンの先にはナショナルトレセンがあると書きましたが、チーム活動の先にも全国大会があります。
全国大会で優勝するようなチームはいったいどんな練習をしているのか。
このサイトで記事を書きましたので、興味のある方は読んでみてください。
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