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天皇杯決勝のガンバサッカーを日本スタイルにしよう

第88回天皇杯決勝についてコメントします。

ガンバ大阪が延長戦を戦って、柏レイソルを下しました。Jリーグ発足後は初優勝です。

クラブワールドカップ3位を獲得したガンバは、ゲーム運びにしたたかさがあり、運も引き寄せて優勝しました。前半立ち上がりは、柏のチャンスが続いた。

縦へのスピードから、きわどいシュートを藤ヶ谷がファインセーブ。
前半15分あたりから、細かいパスをつなぐガンバのポゼッションが始まった。

後半は、柏が、李 忠成とフランサを投入し、フランサの足技からいくつかチャンスを作った。
しかし、藤ヶ谷のファインセーブと遠藤の戻りによるデフェンスで得点には結びつかなかった。

フランサと李の2枚が頼りの柏に対し、ガンバはデフェンスラインからポゼッションをし続ける。
これはクラブワールドカップの3位決定戦を見ているようだった。

決して攻め急がない、勝ち急がない。相手エンドでありながらも、確率の低い攻撃をして、ボールを失うなら、ボールをサイドに散らして、縦へのチャンスをうかがう。

ボランチにポジションを移した遠藤の判断もよく、奪われても、相手エンド内でボールを奪い返す事が出来ていた。

テレビ解説の山本氏は、「遠藤のプライド」をしきりに主張していたが、個人のプライドというよりチームとしてのプライドのため、自分がどう動けばよいかをよくわかって仕事をしているという印象を受けた。

ショートパスの技術が高いため、柏の選手も安易に飛び込めない。
ボールを奪いに行くタイミングを誤ると、数的不利になるからだ。

ワンタッチ、ツータッチのパスを長短を使い分けて幅と厚みの中でボールを回し続けて、トップのマーキングがずれや、ルーカスと山崎のポストへのくさびのパスを縦に入れるという攻撃を繰り返した。

左を起点に、中央へ、中央から縦への攻撃パターン。

右サイドの加地はマークが気になるのか、オーバーラップはわずかであったが、右サイドを崩されるシーンも少なく、安定した守備を見せていた。

高さに頼ることなく、スピードに頼ることなく、ショートパスと中盤のデフェンスでポゼッションし続けて、縦へのボールを入れるチャンスをうかがうというサッカーは、身体能力が決して高いとは言えないガンバの立ち位置が、日本代表と重なる部分が多い。

ルーカス、山崎、そして交代して決勝点を決めた播戸と決して大きい選手はいないが、クイックなプレーやスピードアップは見るべきものがあった。

ミドルシュートは菅野のポジショニングもよく、入りそうなシュートでは無かった。遠藤も延長でミドルを放ったが、打ってみた程度のシュートだった。

ガンバのポゼッションが続くと、柏の最終ラインも集中を切らすわけにはいかないので、緊張感が続き、バイタルエリアでスペースを与える事は少なかった。

延長後半まで後退選手を温存した理由は決して作戦としてではなく、三日に1度の公式戦が続いて故障者だらけというガンバの舞台裏があったとの事。

遠藤、橋本などハーフの負担の大きさが物語っているが、120分プラスPK戦を視野に入れてゲーム進めていたことははっきりしている。

遠藤をはじめとして運動量が落ちることはなく、疲労から来るパスミスもいくつか見られたが、そのミスを柏の選手も疲労からかチャンスにする事も出来なかった。

豊富な運動量と正確なパスワーク、そして、攻守の切り替えの速さ、ここで相手ボールを奪うと決めた時には2,3人で奪いに行くメリハリ。

日本サッカーの方向性を示唆するゲームとして評価できる。

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