少年サッカーチームがJFAに加入していれば代表さんとか監督さんに送られてくる「JFAニュース」。
コーチに送られてくるのはテクニカルニュースという冊子でしたが、今はオンラインになりました。
JFAニュースの10月号の表紙を見ると、特集が「言葉の力」とのこと。
JFA技術委員長の反町康治さんが指導者の言葉、先人らの金言、コミュニケーションの考え方について解説しています。
その中で気になった記事が次の内容です。
怒るべき時には怒る
反町さんは熱い方ですが、記事を読んでいくと冒頭から「怒るべき時には怒る」という見出しを発見しました。
怒っちゃいけない、褒めて育てようという少年サッカーですが、反町さんが怒るべきときに怒るとはいったいどういう場面なのか。
やはり躾(しつけ)が大事なのか。怒るべき時に怒るポイントは2つでした。
・侮辱的な言動
・危険なプレー
この2つです。
ちょっと拍子抜けしました。
集中力がないとか、やる気がないという場面に怒ることや自己管理ができていない時に怒るのかな、と想像していたからです。
・侮辱的な言動
・危険なプレー
この2つをあげながら反町さんは具体例をあげています。
これがなぜ怒る対象になるか。
それは、相手への敬意がないこと、危険であるからです。
「ボールと関係ないところで相手を蹴るのはよくないよ、やめようね」
というフワッとした叱り方ではダメな場面です。
「やめなさい!」
「そんな事をしてはいけない!」
反町さんはたとえ話として、わが子がもし赤信号を無視して渡る場面を見たら「やめようね」などというオブラートをかけた表現にはならないだろうと言っています。
「信号無視をしてはいけない!」
子どもの命を守るためです。笑顔で「いけないよ」なんて悠長なことを言っていられない場面です。
褒めて育てることは、厳しい言動をつつしむことのように思えます。
しかし、そうではなく、子どもたちにを怒る一線をしっかり持つことが、子どもの命、他人の命、命の尊厳やリスペクトすることの土台を作ることにつながると感じました。
さすが反町康治さんです。
反町康治氏の褒める育て方
反町氏はこれまで褒めて育てることを柱にしてきたと語っています。
怒るべき時に怒る。と語りながらも基本は褒めて育てることが柱だったんですね。
2009年に湘南ベルマーレの監督になった時はどんどんチャレンジしろと、失敗しても気にするな「ナイスチャレンジ」と言い続けてきた。その結果5連勝しJ1に昇格できた。
少年サッカーでもこのように「チャレンジを促す」ことはとても大事なことです。
大事な場面でいつもやったことのないフェイントやドリブルを失敗して「なにやってんだ!」と叱ったら、その選手は二度と新しいチャレンジをしなくなってしまうかも知れません。
しかし、シュートミスをしても、ボールを奪われても「ナイスチャレンジ!」と励ますことで、その選手は2度目、3度目のトライをするでしょう。
何度目からのトライで成功するかも知れません。
意識して褒めていた反町康治氏
反町氏のコーチングについて読んでいくと、興味のある内容を発見しました。
それは、選手たちを意識して褒めていた、特に、ゴールを決めた選手よりもそのチャンスを作った選手を意識して褒めていたということです。
一見すると、シュートも大事だけど、それまでのプレーが大事だよ、みんなわかってね。
そう言っているように見える記事です。
でも、反町氏の狙いは違っていました。
ゴールを決めた選手だけでなく、そのチャンスを作った選手のことをよく見ているよ。
その事を選手に伝えるための言葉でした。
見られていると感じた選手は監督に応えるようになるでしょう。
人心掌握術のように見えますが、指導者として選手ひとりひとりを見ていることを伝えることはチーム作りの土台になるのだな、と感じました。
口下手な指導者はどうするべきか
Jリーグの監督には口下手な監督はいないだろう、でも全国の少年サッカークラブ、少年団のコーチの中には口下手で悩んでいるコーチもいるはず。
そんなコーチに反町氏はアドバイスしています。
選手を鼓舞することが苦手なコーチもいることでしょう。
「とにかく頑張れ!」と言っても、何をどのように頑張ればいいのか。
そのロジックが大事、そして情熱が大事だという反町さん。
根底にはやはり、ミスしても怒らないこと。チャレンジを促すこと。があるようです。
魔法の言葉は「任せたぞ!」かも知れません。
任せたという言葉だけでなく、何をどう任せるのか。
私なりに、ロジックと情熱で任せるフレーズを考えてみました。
左サイドの守備は任せたぞ。クロスをあげさせなければそれでいい。
むしろオーバーラップしてシュートを打て。戻れない時は味方がカバーする。
何をすればいいのか、チームとしてそれは認められるのか。
みんなの前でひとりひとりに話かけることでチーム内の共通認識になります。
これは口下手でも無口でもできること。
参考になります!反町さん。
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